>トップページへ戻る

 

 

テキスト ボックス: 「画家 吉井忠の部屋」について

 

昭和のくらし博物館の一角にささやかな美術館「画家 吉井忠の部屋」をオープンしました。
「1937年巴里」や「野の少女」などの油絵を中心に、水彩、デッサンと著書『民芸論』『ピカソ』、東北旅行記などが展示してあります。作品は50代から80代に描かれたもので、ヒューマニズムが根底の骨太で知的な構成と、清冽な色彩が特徴です。

吉井忠は一貫して世界を考え、日本を考えて制作し、社会に向けて発言、行動した画家です。彼の残した作品からは、社会に対する鋭い眼差しや思想が読み取れます。もちろん画家にとっては画業が第一であることは言うまでもありませんが、この社会に生きている以上、社会について考えないわけにはいきません。

といって決して貧寒な政治人間ではなく、大きな構想にもとづく、詩的で、清新な、美しい絵を描くすぐれた画家です。哲学的、思索的、社会的、政治的な関心を含めて吉井忠という芸術家が存在するのだと考えます。
そのことを念頭に置いて作品を鑑賞していただければ幸いです。

昭和のくらし博物館館長 小泉和子


小泉コレクションについて
 50年以上前のある日、女子美術大学在学中の小泉和子さんはクラスメイトと共に吉井忠のアトリエを訪ねたことがあった。文庫本の『ピカソ』を読んでいた小泉和子さんは、この本の著者とアトリエの主が同一人物であることに気づき、驚いたそうだ。
 このような出会いから始まり、20世紀の半分近い時をかけた交流の中から小泉和子さん自身の目と力で集められた吉井忠の作品がこの部屋に並んでいる。
 21世紀の今、小泉コレクションを見ていると、見ている者が見られているようにも、わたくしには思われてくる。
2014年3月2日
 吉井爽子(吉井忠長女)

 

テキスト ボックス: ◆	吉井忠 略歴
吉井忠(1908〜1999)
1908年福島市生まれ。県立福島中学卒業後、上京。太平洋画会研究所で絵画を学び、20才で帝展入選後、シュールレアリズムに傾倒。後に日本、特に東北の風土や文化に関心が移り全国を歩く。
戦後は労働運動、農民運動、平和運動に関心を持ち、毎年平和展に出品。作品は寓意的な群像をはじめとして農民や女性など写実的で骨太の構成と清冽な色彩が特徴。
小泉和子館長の絵の師でもあり、長い親交がありました。

   
                                    (画・小泉和子)

 

 

テキスト ボックス: ◆	図録
画家吉井忠に関する論文や考察、「画家 吉井忠の部屋」展示作品の一覧を冊子にしました。
オールカラーで、作品と共に吉井忠の画業や思想について掘り下げた読み応えのある内容です。

 

 

 

 

 

 

 

>トップページへ戻る