設 立 の 目 的

/ 館 長 あ い さ つ / 館 長 紹 介


昭和のくらし博物館は、昭和26年建築の東京郊外にある庶民住宅を、中の家財道具ごと保存し、丸ごと公開している博物館です。この家の長女であり、生活史の研究者である小泉和子が個人で運営しています。長年モノと人間の関わりを研究してきた立場から、「いつの時代も、最も残りにくくかつ軽んじられるのは、一番身近なはずの庶民のくらしである」と痛感していたため、この建物を単なる建築の保存・活用と資料収集の場とせず、現在の私たちのくらしを見直す場に、多くの人が関わる文化財活用の新しい試みの場に、また昭和の空間や人のつながりを感じる都市の中の憩いの場にという思いと信念を持って1999年に設立しました。




館 長 あ い さ つ


この博物館の建物は昭和26年に建った住宅です。
昭和25年にはじまった政府の住宅政策、住宅金融公庫の融資を受けて建てた、いわゆる公庫住宅です。公庫住宅としてはもっとも初期のものになります。
当時は建築資材が不足していたため、公庫の融資住宅には規模や工事費の制限がありました。したがって規模も小さく、いたって粗末なつくりです。

ここに平成8年までの45年間、私の一家がくらしました。
最初は両親と娘4人の6人家族でしたが、やがて長女・3女・4女の3人がこの家を離れ、両親と次女がくらしていました。しかし昭和57年に父が亡くなり、ついで平成4年に母が大腿骨骨折のため寝たきりとなったため、この家を出て長女の私の家に移り、さらに6年に次女が亡くなりましたので無人になってしまいました。
壊してしまうことも考えたのですが、この時期に建てられた住宅が現在、ほとんど残っていないことと、1軒分の家財がそっくり残っていることから、決して立派な家でも家財でもありませんが、これはまるごとが戦後の庶民のくらしの資料ではないかと考えて、このまま残しておくことに決めました。

考えてみれば私たちが生きた昭和という時代は、昭和恐慌によって幕を開け、日中戦争、太平洋戦争と、あいつぐ戦争から、戦後はまた、生産体制から社会、文化、生活のすべてにおいて大変動が起こった激動の時代でした。
そしてこうした時代の激流にもっともおおきな影響を受けたのがくらしです。くらしは人間が生きてゆく上の基礎となるものですが、くらしというものを重視する基盤の弱い日本では、まず最初に犠牲にされるのがくらし、それも庶民のくらしです。このため、単に住宅と家財を保存しておくだけではなく、ここを学習の場として、くらしの面から昭和という時代をもういちど考え直してみたい、そして出来得るならば、くらしの哲学といったものを打ち立てたいと思い、「昭和のくらし博物館」としました。
どうかみなさまもご一緒に昭和という時代をもういちど考え直してみてください。




館 長 紹 介


小泉和子 (こいずみ かずこ)

昭和8(1933)年東京都文京区小石川生まれ。
女子美術大学芸術学部洋画科を卒業後、東大工学部建築学科建築史研究室で日本家具・室内意匠史を研究し、工学博士号を取得。家具・道具および建築を中心として生活史を研究する、生活史研究所を主宰。重要文化財建造物の家具・インテリアの復元および博物館・資料館の展示企画などを行う。
『昭和のくらし博物館』(河出書房新社)、『昭和台所なつかし図鑑』(平凡社)、『室内と家具の歴史』(中央公論社)、『TRADITIONAL JAPANESE FURNITURE』(講談社インターナショナル)、『道具が語る生活史』(朝日選書)など著書多数。元京都女子大学教授。

家具道具室内史学会会長
HP : http://www.jpshift2008.org/




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